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2019年4月26日

サザビーズ前CEO、野村アートアワードに期待を寄せる

Ikeda Hajime × Tad Smith Ikeda Hajime × Tad Smith

2019年に創設された野村アートアワードは、サザビーズにとっても特別な取り組みだ。サザビーズのグループ会社であるArt Agency, Partners(AAP)がアドバイザーとして関与しているほか、AAP創業者兼プリンシパルでサザビーズ ファインアート部門チェアマンであるアラン・シュワルツマン氏が審査員を務めている。

サザビーズ前CEOのタッド・スミス氏は、野村ホールディングスの池田肇執行役員と対談し、2017年にSotheby’s Prizeを創設して得た経験を交えながら、野村アートアワードに期待することや、このアワードが持つ意義について話した。

池田:野村アートアワードについて聞いたとき、どのように思いましたか?

スミス:野村のように歴史と実力のある会社がアートアワードを始めるのは素晴らしい事だと思いました。変革と挑戦、イノベーションといった価値を大事にする野村だからこそ出来ることがあると感じています。

池田:当社の創業者である野村徳七は、能や茶道といった文化芸術を支援した人でした。その想いが現在の我々に受け継がれています。

スミス:素晴らしい伝統ですね。サザビーズも、アートを世の中に広めてきた歴史からSotheby’s Prizeを設立しました。通常であればスポットライトがあたらない、でも本当はその価値があるアーティストや展覧会を発掘するためです。このような取り組みを始めたことで、株主やアーティストコミュニティーだけでなく、社員にもサザビーズの信念をより感じてもらうことができ、ポジティブな反応がうまれています。野村も同じように嬉しい驚きを発見することになると思います。

池田:我々の強みの一つは、アジアに根付いた金融サービス企業で、東西の懸け橋ができるということです。アジアを拠点にグローバルプレゼンスを持つことが事業戦略のベースになっています。また、我々のお客様のなかにはアートに造詣が深い方が多くいます。今回アートアワードを始めるのは、ブランド戦略や社員エンゲージメントだけでなく、既存・潜在的お客様に対して野村のメッセージを伝えたいという思いもあるからです。

スミス:そうですね、とてもいい考えだと思います。個人的に、左脳タイプと言われるような、分析型や数学型、テクノロジー系の人にも、アートは共通言語で関係構築に有効なツールだと感じています。アートが好きな人とであれば、ビジネスを前面に出さずとも、アートをきっかけに会話を深めていくことができますよね。

池田:当社が現代アートを始めるにあたり、アドバイスはありますか?

スミス:まず透明性の確保と、ビジネスに真面目であり続けること。これはすでに実践していますね。二番目に、野村にとって大事なテーマが明確であること。変革と挑戦、イノベーション、創造的破壊、新しい視点、というものです。そして三番目に、ぜひアーティストに機会を与えてください。キャリアの長さやステータスに関わらず、アーティストは世界に見つけてもらう機会を必要としています。

もう1点強調したいのは、アート界を代表する有識者が野村アートアワードの審査員を務めているということです。審査員たちは世界中から、野村のビジョンに一番合った受賞者候補を選んでいます。そして選ばれたアーティストは、受賞をきっかけに「声」を得ることで、伝えたいメッセージを世の中に発信することが可能になります。

我々サザビーズは2019年3月11日に275年目の誕生日を迎えました。この特別な年に野村とパートナーを組めることを嬉しく誇りに思います。

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